第113回 医師国家試験 産婦人科 産科 婦人科 分野 解説

第113回医師国家試験問題【産婦人科分野】

第113回 医師国家試験問題解説【問題113D47】

2019年5月21日

24歳の女性.月経1日目の下腹部痛を主訴に来院した.5年前から月経時に腹痛がある.痛みの程度と持続日数は月経ごとに異なっている.本日朝から月経が始まり,通勤中の電車内でこれまでになく下腹部痛が強くなったので途中下車して来院した.月経周期は28日型,整.下痢や嘔吐は認めない.意識は清明.身長160cm,体重52kg.体温36.6℃.脈拍72/分,整.血圧118/72mmHg.呼吸数20/分.腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない.内診で子宮に腫大を認めない.Douglas窩に硬結を触知しない.血液所見:赤血球362万,Hb 11.2g/dL,Ht 37%,白血球5,600,血小板21万.CRP 0.1mg/dL.妊娠反応陰性.超音波検査で卵巣に異常を認めず,Douglas窩に液体貯留を認めない.

最も考えられるのはどれか.
a 卵管炎
b 黄体出血
c 子宮内膜症
d 卵巣腫瘍茎捻転
e 機能性月経困難症

第113回 医師国家試験問題キーワード【113D47】

第113回医師国家試験 キーワー

 

それでは早速キーワードを抽出していきましょう。

 

重要な箇所に赤字でマーキングしておきます。

 

24歳の女性.月経1日目の下腹部痛を主訴に来院した.5年前から月経時に腹痛がある.痛みの程度と持続日数は月経ごとに異なっている.本日朝から月経が始まり,通勤中の電車内でこれまでになく下腹部痛が強くなったので途中下車して来院した.月経周期は28日型,整.下痢や嘔吐は認めない.意識は清明.身長160cm,体重52kg.体温36.6℃.脈拍72/分,整.血圧118/72mmHg.呼吸数20/分.腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない.内診で子宮に腫大を認めない.Douglas窩に硬結を触知しない.血液所見:赤血球362万,Hb 11.2g/dL,Ht 37%,白血球5,600,血小板21万.CRP 0.1mg/dL.妊娠反応陰性.超音波検査で卵巣に異常を認めず,Douglas窩に液体貯留を認めない.

第113回 医師国家試験問題解説【113D47】

医師国家試験 産婦人科 解説

 

それでは解説にいきましょう。

 

第113回の産婦人科分野での問題に特徴的であった事の一つに「正常」を理解しているか。ということがあります。

 

要するに、救急外来や外来、病棟の病院実習で如何に問題とならないケースを見てきたか、ということが解答に到達するための一つのポイントになります。

 

今後もこのは続くと思いますので、病棟実習はしっかり行うようにしましょう。

 

それではキーワードから、問題を解いていきます。

 

「5年前から月経時に腹痛がある」また「月経1日目の下腹部痛」から、産婦人科専門医としては「子宮内膜症」かまたは「機能性月経困難症」かな、と考えます。

 

この時点で腹痛をきたしたトリガーポイントは「月経」な訳ですから、この2つに絞れるわけです。

 

ちなみに以下の疾患のキーワードを挙げていきます。

「卵管炎」「子宮附属器炎」→下腹部痛、子宮腟頸部挙上痛
「黄体出血」→「月経14日目以降の排卵後のスポーツ/性交後の下腹部痛」

これは同時におさえておきましょう。

 

さて、では本問では「子宮内膜症」か「機能性月経困難症」か非常に悩むところではあります。

 

本来であれば、実臨床であればどちらも正解である可能性はあります。

 

しかし、この問題が国家試験である事を考えると、キーワードが解答の決め手となります。

「内診で子宮に腫大を認めない」→子宮腺筋症の否定
「超音波検査で卵巣に異常を認めず、ダグラス窩に液体貯留を認めない」→卵巣嚢腫(内膜症性)、また凍結骨盤の否定

この2点から、内膜症を否定してくださいというメッセージが伝わります。

 

また、「内膜症」をキチンと診断するためには、腹腔鏡で腹腔内を確認することが必要です。例えば「黒色点」や「ブルーベリースポット」を確認する必要があります。

 

そのため、今回は「内膜症」は解答の優先順位としては低いと考えます。

第113回 医師国家試験問題解答【113D47】

第113回医師国家試験 解答

以上より解答は「e 機能性月経困難症」となります。


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