第113回 医師国家試験 産婦人科 産科 婦人科 分野 解説

第113回医師国家試験問題【産婦人科分野】

第113回 医師国家試験問題解説【問題113B35】

2019年5月9日

37歳の初産婦 (10) .妊娠30週に両下腿浮腫の増悪を主訴に来院した.これまでの妊娠経過は順調であったが,妊娠27週ころに両下腿浮腫を生じ,28週ころから浮腫の増悪を認めた.意識は清明.脈拍72/分,整.血圧160/104mmHg.尿検査で蛋白2+である.ノンストレステスト〈NST〉はreactiveで,子宮収縮は認めない.入院後安静にして血圧を再検査したところ,164/106mmHgであった.投与すべき薬剤はどれか.
a β2刺激薬
b ループ利尿薬
c 硫酸マグネシウム
d ドパミン受容体作動薬
e ベンゾジアゼピン系抗不安薬

第113回 医師国家試験問題キーワード【113B35】

第113回医師国家試験 キーワー

問題解説にあたり、ここで問題文のキーワードを抽出していきたいと思います。

 

特に重要なキーワードに関しては赤字で示していきたいと思います。


37歳の初産婦 (10) 妊娠30週に両下腿浮腫の増悪を主訴に来院した.これまでの妊娠経過は順調であったが,妊娠27週ころに両下腿浮腫を生じ,28週ころから浮腫の増悪を認めた.意識は清明.脈拍72/分,整.血圧160/104mmHg.尿検査で蛋白2である.ノンストレステスト〈NST〉はreactiveで,子宮収縮は認めない.入院後安静にして血圧を再検査したところ,164/106mmHgであった.投与すべき薬剤はどれか.
a β2刺激薬
b ループ利尿薬
c 硫酸マグネシウム
d ドパミン受容体作動薬
e ベンゾジアゼピン系抗不安薬

第113回 医師国家試験問題解説【113B35】

医師国家試験 産婦人科 解説

妊娠高血圧症候群とは

2004年までの旧分類では
① 妊娠高血圧症候群 Pregnancy Induced Hypertension (PIH)
このうちに「妊娠高血圧 Gestational Hypertension (GH)」、「妊娠高血圧腎症 Preeclampsia (PE)」が含まれました。

 

更に腎障害を伴うものとして、
② 加重型妊娠高血圧腎症 Superimposed Preeclampsia (SI-PE) がありました。

 

元々高血圧を持病として持っている高血圧合併妊娠はこれらのうちの定義には含まれず、特定の英訳もありませんでしたが、それではマズイだろうということで、色々な改訂がなされました。

 

というのも、世界的にも高血圧を持つ妊婦さんの数は増加してきており、また加齢後の高血圧とも関連が指摘されており、妊娠高血圧・高血圧合併を一元的に管理する必要が出てきたためです。

 

2018年に日本産婦人科学会で定義の変更がありましたので、第114回の医師国家試験では以下の分類に変更される事となります。
※ 以下の表は横にスクロールする事が出来ます。

妊娠高血圧症候群Hypertensive Disorders of Pregnancy (HDP)
妊娠高血圧Gestational Hypertension (GH)
妊娠高血圧腎症Preeclampsia (PE)
加重型妊娠高血圧腎症Superimposed Preeclampsia (S-PE)
高血圧合併妊娠Chronic Hypertension

今まではPIHと言われていたものが、HDPという名称に変更されたのですね。

 

更に高血圧合併妊娠の英語名称も決まりましたので、今後高血圧合併妊娠に関する問題も増えてくる可能性がありそうですね。

妊娠高血圧腎症(Preeclampsia (PE))とは

妊娠高血圧腎症:Preeclampsia(PE)の定義としては以下のものがあります。

妊娠高血圧腎症:Preeclampsia(PE)の定義

妊娠20週以降に初めて高血圧を発症し,かつ蛋白尿(300mg/日以上、 またはP/C比0.3以上)を伴うもので分娩12週までに正常に復する場合。

② 妊娠20週以降に初めて発症した高血圧に蛋白尿を認めなくても以下の いずれかを認める場合で、分娩12週までに正常に回する場合。
基礎疾患の無い肝機能障害(肝酵素上昇 :ALTもしくはALT>40IU/L、治療に 反応せず他の診断がつかない重度の持続する右季肋部もしくは心窩部痛)、進行性の腎障害(Cr>1.0mg/dL、他の腎疾患は否定),脳卒 中,神経学的障害(間代性痙攣・子癇・視野障害・頭痛など),血液凝 固障(血小板減少:<15万/μL, DIC,溶血),胎児胎盤機能不全

 

ちなみに本問題では尿検査で蛋白2+という記載はありますが、1日当たりの尿蛋白の記載はありません。


大まかにではありますが、尿検査で1+であれば尿蛋白100mg/日、2+であれば尿蛋白200mg/日と考えて良いでしょう。


この問題では腎機能障害はないと考えても良さそうですね。

HDPの重症の定義と分類について

妊娠中に血圧が140/90mmHgを超える患者は全て (妊娠前からあったものも含めて) 妊娠高血圧症候群 Hypertensive Disorders of Pregnancy (HDP)という名称に変更されます。


ここで重要な点ですが、HDPには「重症」はあっても「軽症」はないんですね。

第113回 医師国家試験問題解答【113B35】

第113回医師国家試験 解答

本問題では問題文中に「妊娠27週ころに両下腿浮腫を生じ」「妊娠28週頃から浮腫の増悪を認め」「血圧160/104mmHg」という記載があります。尿蛋白は2+である事から重症域ではないことを示唆しています。

 

これらのことから、軽症域のHDP-妊娠高血圧症候群と考える事ができます。

 

妊娠高血圧症候群の治療方法としては基本的には「termination=出産」です。しかし、児が未熟で分娩可能な時期(正期産の時期)ではなかったり、まだ高血圧が軽度である場合には、適切な分娩時期を模索します。

 

対症療法として、安静や高圧剤(塩酸メチルドパ、塩酸ヒドララジン)、子癇発作予防として流産マグネシウムの投与を行います。これらの薬剤は国家試験でも頻出ですので、必ず覚えておくようにしましょう。

 

ちなみに妊娠高血圧で入院中の食餌療法としては「低カロリー、正蛋白、減塩」が基本です。

 

以上から解答としてはc.になります。


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