こんにちは。産婦人科医のTommy(@obgynaitommy)です。
論文の検索の仕方を知りたいけど、論文の検索方法が分からない。
Pubmedは聞いたことがあるけど、使い方まではよく分からない。
Pubmedは少し使えるけど、応用した検索方法が知りたい。
この様な方に向けての記事になります。今回の記事ではPubmedの検索方法について解説して行きます。
Pubmedは医療分野だけではなく学術分野の文献データベースの中でも最大規模のものです。論文を読み書きするためにもPubmedを検索する方法が分からないと何もできません。早速今回のテーマです。
本記事のテーマ
- Pubmedの検索方法の応用(advanced Search機能)
- Pubmedで検索した表示結果
- 少なくとも以上の2点は修得する。
それでは早速、検索方法について詳しくみていきましょう。
【今日から使える】Pubmedの使い方を分かりやすく解説【手順あり】
Pubmedとは、米国National Center for Biotechnology Information, National Library of Medicineが開発・提供する MEDLINEが基本となっている文献データベースで、web上では1997年から無料で公開されています。
(Pubmedの中にはMEDLINEに収録前の文献やMEDLINEに収録対象外のものも一部含まれています。)
MEMO
PubmedはNLM(National Library of Medicine) の統合検索システム「Entrez」の一部でもあります。
利用費用が無料な上に、収載件数は約2,700万件と膨大な量になります。また週に5日は更新されており、1日あたり2,000-4,000件の論文が追加されています。
収納されている論文の内容としては、1946年以降から現在までの医学論文に加えて、電子型収納の論文や雑誌(約5,600誌)も収録されています。論文のほとんど(約91%)が英語ですが日本語も含めて60言語の論文が含まれています。
またPubmedに収納されている文献ははMedical Subject Headings (MeSH) によって検索する事ができ、管理されています。
Pubmed検索方法の基本
PubMedには色々な検索方法がありますが、まずは一番簡単な方法から説明します。PubmedのHomePage を開くと、上図のよう な画面が現れます。
画面左上の検索ボックスのプルダウンメニューは[PubMed]のままで、検索ボ ックス内(この箇所をQuery Boxとも言います)に検索したいキーワードを入れてください。さらに右横の[Search] ボタンをクリックすると検索が実行されます。
2つ以上のキーワードを掛け合わせる場合は、スペースを挿入して入力すると、 自動的にそれらをすべて含む文献を検索出来ます。
例えば、「卵巣癌の化学療法に関する文献」を検索したい場合、キーワードと しては「卵巣癌(ovarian cancer)」と「化学療法(chemotherapy)」となります。
具体的な入力方法は次の様になります→「ovarian cancer chemotherapy」 。なお、入力する文字は 大文字・小文字どちらでもokです。
その他にも「Nature誌に2005年に掲載され、青木氏が執筆した論文」を検索する場合には次の様に検索します。
〔 Nature 2005 Aoki 〕
もちろんこの検索時にも、入力する文字は 大文字・小文字どちらでもokです。
① Citation Snsor(サイテーションセンサー)機能
雑誌名や検索したい内容、または著者と考えられる語で検索を実行すると、サイテーション・センサー(Citation Sensor)と呼ばれる機能が起動します。
すると、上図の様に通常の検索の前に書誌情報として検索情報に該当する論文が表示 されます。
上図では例えば、〔 ovarian cancer laparoscopy 〕
で検索を行いましたが、その結果、Citation Sensorに 「ovarian cancer」「laparoscopy」を雑誌名として検索した3件が 表示され、その次に「ovarian cancer」「laparoscopy」を雑誌名以外の本文中にも含むキーワードとして検索した結果が3011件表 示されているのが分かります。
② Auto Suggest(オート・サージェスト)機能
キーワードを入力すると、その語を含む最近よく検索された検索例の一覧が検索ボックスの真下にずらっと表示されます【上図を参照】。
これはオート・サジ ェスト(Auto Suggest)と呼ばれる機能で、最近の検索トレンドを知る上でも参考になります。
メニュー中に自分が検索したいワードがあればそれを選択すると、その用語で検索を行う事ができます。またAuto Suggest機能を無効にしたい場合には、メニューの最下部右端にある”Turn off”を選択すると無効に出来ます。
③ 検索文字の入力
特殊文字による検索方法についてまとめておきます。
特殊文字による検索
- 検索に大文字や小文字の区別はない
- 著者名は姓+名+ミドルネーム(フル+イニシャル+イニシャル)
- ハイフン(-)はスペースに変換する。
(例)Platinum-based → Platinum based - アポストロフィーなどのアクセント記号などの記号は省略可能(例 Behçet’s syndrome → behcets syndrome)
- ギリシャ文字は読みで書く。(例)β → beta,α → alpha
- 分子式は大文字にする。 (例)CO2 → CO2
※ 熟語を入力する際には半角スペースを入れる。(半角ダブルクォーテーションマークで囲むことも可能)
④ 前方一致検索(Truncation)【* アスタリスクをつける方法】
検索になるべく漏れの無いようにしたい時には、検索文字にアスタリスク * を追加します。
キーワードの最後にアスタリスク(*)を付けると、「その後にはどんな文字が続いてもす べて検索を行う」という意味になります。
このような検索を前方一致検索(またはTruncation -トラ ンケーション-)といいます。
ただし、前方一致検索は600種類までの検索となります。ただし、1文字にアスタ リスクをつけて検索することはできません (a*など)。しかしフレーズ検索の” ”内では無視されます。
⑤ 論理演算子を使用する
複数概念の組み合わせを指定したい時は以下の様に論理演算子を用います。例えば以下の様に使用します。
論理演算子の使い方
- gastric cancer AND endoscopic surgery
- gastric cancer OR colorectal cancer
- gastric cancer AND surgery NOT endoscopy
※演算子は大文字、前後に半角スペース
⑥ タグ機能
Pubmedにはタグ機能というものがあります。タグ機能とは以下の事を指します。
MEDLINE/PubMedにて文献検索を行う際、検索窓に語句を記入して検索すると、その語句がテキストワードとしてタイトル、要旨、著者等どこかに含まれる文献が検索され、さらに、その語句が自動的にMeSHの定めた用語に変換されて文献が検索される。
つまり、 cancer で検索すると、テキストワードに cancer をもつ文献が検索され、さらに、MeSH用語では cancer は neoplasms として定義されているため、neoplasms を主題、タイトル、または要旨にもつ文献が検索される。
cancer を雑誌名に限定したい場合や、タイトルに限定したい場合は、タグを指定することで限定できる。例えば "cancer"[TA] とすることで、cancer という名の雑誌を指定できる。
さらに AND、OR、NOT を使って2つ以上の検索結果の論理積・論理和・論理否定を求めることもできる。論理式は大文字で書くことでキーワードと区別される。
例えば以下の様なものがあります。
データフィールド | タグ | 説明 |
Affiliation | [AD] | 筆頭著者の所属機関 |
All Fields | [ALL] | 全てのフィールド |
Author | [AU] | 著者。名字+名前の頭文字。徳川家康なら"Tokugawa I"[AU]。名字だけでもよい。 |
First Author | [1AU] | 筆頭著者。名字+名前の頭文字。徳川家康なら"Tokugawa I"[1AU]。名字だけでもよい。 |
Publication Date | [DP] | 発行日。YYYY/MM/DDで記載するが、月日はなくてもよい。2001[DP]、2001/04[DP]など。 |
Full Author Name | [FAU] | 著者のフルネーム。徳川家康なら"Tokugawa, Ieyasu"[FAU]。2002年以降の文献から一部検索可能。 |
Last Author | [LASTAU] | 最終著者。名字+名前の頭文字。徳川家康なら"Tokugawa I"[LASTAU]。名字だけでもよい。 |
MeSH Terms | [MH] | MeSH用語で付与された文献の主題 |
MeSH Major Topic | [MAJR] | MeSH用語で付与される10~15の主題のうち、2つ程度が特に主要な主題として区別されている。この主要な主題を検索する。 |
Page Number | [PG] | ページ。1001-5[PG]のように始まりのページと終わりのページは - でつなぎ、終わりのページは省略して記載する。始まりのページだけでもよい。 |
PMID | [PMID] | PubMed登録番号 |
Journal | [TA], [JO] | 雑誌名 |
Title | [TI] | タイトル |
Title/Abstract | [TIAB] | タイトルあるいは要旨のいずれか |
Text word | [TW] | テキストワード |
Advanced Search機能(フィールド指定検索)
Pubmedの応用編としてAdvanced機能というものがあいrます。まず、下図の Advanced をクリックしてみましょう。
そうすると次の様な画面が出てきます。
searchの箇所に何も入力しないと上図の様に「Use the builder below to create your search」と出てきます。
これは、この下のBuilderに検索演算子を入力することで自動的に演算子が出力されます。
例えば、ovarian cancerと雑誌のnatureで検索したとすると以下の様に表示されます。
先程は「Use the builder below to create your search」と表示されていた箇所に自動的に「(ovarian cancer) AND "nature"[Journal]」と表示されました。
この条件での検索結果を表示させるためには、左下にあるSearcchをクリックしましょう。そうすると、下図の様な検索結果画面が出てきます。
Search History機能
Search History では、それまでに検索した過程(検索語と検索結果)を見ることができ、 検索集合の組み合わせが容易にできます。
下図は腺癌と子宮頸癌の掛け合 わせを行っている例です。なお、検索履歴は新しいものから 5 つ表示されます。
5件以上 の履歴がある場合には、右下に More History ボタンが現れるので、それをクリックすると 全ての履歴が表示されます。
Search History では検索番号を AND, OR, NOT で組み合わせて検索することができま す。
演算子は大文字でも小文字(and、or、not)でも検索できます。
なお、検索番号には 必ず#を付けましょう。# を付けないとその数字で検索されます。
例)#3 AND #5 AND #7
interferon Search History が記憶している検索記録は 100 番までです。
これを超えると、古いもの から順番に消去されます。また、何もしないで 8 時間経つと、検索記録は自動的に削除さ れます。
検索番号は MeSH Database など他のデータベースと共通で、番号が飛んだりし ます。組み合わせる際には注意してください。
検索記録を消去したいときは、すべて削除 するなら画面右下の Clear History ボタンをクリックし、特定の検索番号を削除したいと きはその番号をクリックして表示されるメニューから Delete を選びます。
Search by Author, Journal, Publication Date, and more
2 番目のエリア Search by Author, Journal, Publication Date, and more では、著者名や 雑誌名、論題名などフィールドを指定して検索することができます。
初期設定は、各行で 指定した項目の掛け合わせ(AND 検索)になっていますが、OR 検索に変更もできます。
各ボックスの右横の Index ボタンをクリックすると、そのキーワードを含む候補語がリ ストアップされます。入力したキーワードですぐに検索を実行する場合は右下の Search ボ タンをクリックします。
Publication Dateでは論文の出版日で絞り込むことができ、たとえば2001年1月1日以降から2018年12月31日までを指定するには、上図の様に2001/01/01 や 2018/12/31 のように入力します。また、 図の様に Show index listをクリックする
とpull down形式で、年度ごとに保管されている文献の数を出てきます。
2009 のように出版年だけで指定することもできます。出版期間の指定は検索を実行すると 解除されます。
なお、フィールドを 「Date Entrez」にすると「PubMedにデータを収録した日」で限定できます。大体は出版された日で検索することが多いので、Publication Dateで良いでしょう。
出版形態の選択:Type of Article (Publication Types)
Type of Article は Publication Type と同じもので、研究デザインや論文の種類について 絞り込み検索ができます。主なものは以下のとおりです。
- Clinical Trial(臨床試験)
- Editorial(社説)
- Letter(投書)
- Meta-Analysis(メタアナリシス)
- Practice Guideline(臨床ガイドライン)
- Randomized Controlled Trial(無作為抽出試験)
- Review(レビュー・総説)
検索結果の表示
検索結果表示の基本
検索を実行すると、新しいものから順に文献リストが表示され、先頭に検索された件数 が表示されます(上図では3,011件)。
この数が多い場合は、入力したキーワードの後ろ にスペースを空けてキーワードを追加し、再度検索を実行します。
文献リストの表示形式の初期設定は Summary形式 になっていて、タイトル、著者名、 雑誌名(略誌名)、出版年月・巻・号・ページが表示されます。
このときに、マウスで矢 印を雑誌名(略誌名)のところに合わせるとそれぞれの正式な雑誌名が表示されます。
PubMedのデータは、出版社から送られてくる生データを基にして索引付け等の作業が行 われます。
文献リスト中でPMIDの右横には、各データの状態が表示されます。
データの作成手順
- 雑誌出版社からデータが送られてくる → [PubMed – as supplied by publisher]
- 書誌事項の確認や索引付けなどを行う → [PubMed – in process]
- MEDLINEデータとして登録する → [PubMed – indexed for MEDLINE]
- PubMedデータとして残す(③以外のもの)→PubMedデータとして残す(③以外のもの)
Related articles は、MeSH、タイトル、抄録中のキーワードをPubMedが自動的に分析 した、関連性の高い文献へリンクする機能です。
すでに手元にある「キーペーパー」や検 索結果の中の「よい論文」を手がかりに関連文献を検索するときに便利です。
検索結果のリストの各文献には、チェックボックスがあります。
ここにチェックを付け てから再表示すると、チェックしたものだけが表示されます。
その後、印刷を実行すると、 必要な文献のみを印刷することができます。
まとめ
Pubmedで論文を検索したことのない方も、少し検索したことのある方も、少しは論文の検索方法が1段階ステップアップして理解していただけると幸いです。
Pubmedの検索方法は、論文の検索方法匂いても、論文を書く上でも非常に重要な機能となっていますので、Oubmedを使いこなせる様にしておきましょう。
また、今回の記事を作成する上で、参考になった記事を下記に引用しておきます。
(ただし、ほとんどの記事でPubmedが旧verのものが多く、中々分かりづらいものも多くありました。
本記事では2019/8/28時点のPubmedを使用した画像を使用していますので、比較的皆さんが使用するPubmedと合致したものになっていると思います。)
この記事が論文検索を行う際に参考になって頂ければ幸いです。
今回は以上となります。
参考リンク集
- 慶應義塾大学 Pubmed検索方法 » Pubmed@keio
- 京都府立医科大学附立図書館 »Pubmedの使い方【基礎編】
- 京都大学図書館 » 基礎から学ぶPubmedの使い方
- 杏林大学 » Pubmedの検索方法