経腟分娩における第2回旋の異常はどれか。2つ選べ。
a 額位
b 横位
c 高在縦定位
d 後方後頭位
e 低在横定位
解説 113A10
胎位・胎向・胎勢の違い
この問題のポイントは胎位・胎向・胎勢の違い,さらには回旋の異常をキチンと押さえておく必要がある、という事です。
胎位・胎向・胎勢の違いについてまとめておきます。
もっと詳しく
- 胎位:胎児の縦軸と母体の縦軸の位置関係を表したもの
- 胎向:胎児の背中が母体の左右のどちらを向いているか
・胎児の背が母体の左側を向いている:第一胎向
・胎児の背が母体の右側を向いている:第二胎向 - 胎勢:胎児の姿勢(正常の姿勢は'屈位=後頭位'です)
胎位:胎児の縦軸と母体の縦軸の位置関係を表したもの
ここで胎位・胎勢の異常の違いについて詳しく見ていきましょう。
胎位の異常には、頭位、骨盤位、横位、斜位があります。
選択肢 b「横位」は「胎位」の異常に当てはまります。そのため回旋異常ではありません。
「ベッケン」とは?
「胎位」の異常のうちもっとも多いものとしては「骨盤位」があります。
骨盤位のことを業界では「ベッケン」と言い、骨盤位による帝王切開も「ベッケンカイザー」という事があります。
胎勢:胎児の姿勢(正常の姿勢は 屈位=後頭位 )
胎勢の異常の違いについて詳しく見ていきましょう。
胎勢とは胎児の姿勢のことであり、正常の姿勢は'屈位=後頭位'です。
胎勢の異常:屈位ではないもの='反屈位'のことです。
具体的には前頭位、額位、顔位があります。
選択肢 a「額位」は「胎勢」の異常の一つなんですね。そのため、回旋異常ではありません。
胎向:胎児の背中の母体左右に対する向きのこと
この問題には胎向の異常は出てきていませんが、胎向についてもまとめておきましょう。
もっと詳しく
- 胎向:胎児の背中が母体の左右のどちらを向いているか
- 胎児の背が母体の左側を向いている:第一胎向
- 胎児の背が母体の右側を向いている:第二胎向
本問題には出てきていませんが、胎向の異常は第一胎向と第二胎向以外と考えて良いでしょう。
第一前方後頭位とは
ここで 第一前方後頭位って何?って思う方もいると思いますのでさらっておきましょう。
この「第一前方後頭位」には読み方のコツがあります。
第一前方後頭位
- 第一前方後頭位=「第一」+「前方」+「後頭位」に分けて考えます。
- 第一 → 胎向(胎児の背中が母体の左側を向いている)
- 前方 → 胎児の先進部が回る方向が母体の前方(母体の腹側)
- 後頭位 → 胎勢=胎児の先進部
同様に別の表現についても見ていきましょう。
第二後方後頭位
- 第一前方後頭位=「第二」+「後方」+「後頭位」に分けて考えます。
- 第二 → 胎向(胎児の背中が母体の右側を向いている)
- 後方 → 胎児の先進部が回る方向が母体の後方(母体の背側)
- 後頭位 → 胎勢=胎児の先進部
したがって、選択肢dの「後方後頭位」は胎児の先進部の後頭位が回る方向が母体の後方であるということを意味しています。
選択肢dは第2回旋の異常になります。
回旋の異常
第1回旋から第4回旋までの流れを上にまとめました。
それぞれの回旋について、ポイントをまとめておきます。
分娩の全体像
- 第1回旋:屈位=後頭位になること('回旋'とは言ってっも実際には胎児が顎を胸に引きつけることを指します)
- 第2回旋:児頭が反時計回りに回旋(第一胎向のとき)
- 第3回旋:児頭が屈位→反屈位になる。
- 第4回旋:第一回旋とは反対回りに回旋する。肩を出すように横を向く
第二回旋の異常:胎児は骨盤の形に合わせて下降するが、この回旋に異常をきたす状態
第2回旋の異常は、胎児が時計回り、もしくは反時計回りに回らない状態のことを言います。
児頭が低い状態まで下がってきたにも関わらず、第2回旋を行う事ができずに引っかかっている状態のことを「低在横定位」と言います。
これに対して高在縦定位は児頭の進入異常によるものです。
児頭が縦向きのまま骨盤に進入してきたため、、横長の骨盤入口部に引っかかった状態を意味しています。
解答
解答としてはd, eとなります。