第113回 医師国家試験 産婦人科 産科 婦人科 分野 解説

第113回医師国家試験問題【産婦人科分野】

第113回 医師国家試験問題解説【問題 113A71】

2019年4月21日

35歳の経産婦 (32)
妊娠33週に周産期管理目的で,自宅近くの産科診療所から紹介され受診した.既往歴は,30歳時および32歳時に,それぞれ骨盤位および既往帝王切開の適応で選択的帝王切開.身長156cm,体重56kg (妊娠前体重48kg)
体温
36.8℃,脈拍84/分,整.血圧108/76mmHg.現時点で自覚症状はなく,胎児心拍数陣痛図で異常を認めない.
骨盤
MRIT2強調像 (下図) を別に示す.考えられるのはどれか.2つ選べ.
a 前置血管
b 前置胎盤
c 癒着胎盤
d 胎盤後血腫
e 常位胎盤早期剝離

医師国家試験解説 問題 113A71 図

【問題 113A71】キーワード

ここで問題文のキーワードを抽出していきたいと思います。特に重要なキーワードに関しては赤字で示していきたいと思います。

35歳の経産婦 (32)
妊娠33週に周産期管理目的で,自宅近くの産科診療所から紹介され受診した.既往歴は,30歳時および32歳時に,それぞれ骨盤位および既往帝王切開の適応で選択的帝王切開.身長156cm,体重56kg (妊娠前体重48kg)
体温
36.8℃,脈拍84/分,整.血圧108/76mmHg現時点で自覚症状はなく,胎児心拍数陣痛図で異常を認めない.
骨盤
MRIT2強調像 (下図) を別に示す.考えられるのはどれか.2つ選べ.
a 前置血管
b 前置胎盤
c 癒着胎盤
d 胎盤後血腫
e 常位胎盤早期剝離

解説 113A71

医師国家試験 産婦人科 解説

子宮口が胎盤で塞がれているため、前置胎盤のうちでも、完全前置胎盤です。

 

MRIで血腫はlow-high densityに見えますが、この画像ではそれを認めません。

 

そのため胎盤後血腫は認めません。

 

また、常位胎盤早期剥離だと問題文章中に「腹部板状硬」や「下腹部痛」などの症状が記載されている上に、胎児心拍数陣痛図でも異常を認めます。

 

そのため、e. 常位胎盤早期剥離はあり得ません。

 

ここで、前置血管とは胎盤や臍帯に支持されない胎児血管が内子宮口上の卵膜を走行する状態のことです。

 

特にMRI T2の画像所見では内子宮口にlow densityの血管の所見を認めますが、この画像では認めません。

 

ところで、この前置血管ですが、破水により血管が破綻すると胎児の失血から胎児死亡につながることがあるため,妊 娠中に診断し,破水前に帝王切開を施行することが重要な非常に重要な所見です。

 

そのため、分娩前にきちんと診断しておくことが重要です(通常であれば経腹超音波検査での診断が可能です。)

 

また、子宮後壁の筋層には胎盤が癒着している所見を認めます。問題文中にも"30歳時および32歳時に,それぞれ骨盤位および既往帝王切開の適応で選択的帝王切開"という記載があり、前置胎盤や癒着胎盤のリスクが非常に高い状態と考えて良いでしょう。

上記より解答としては、b,c となります。


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