TED 医療英会話 母になっていくことへの新しい考え方 アレクサンドラ・サックス(Alexandra Sacks)

医療英語・英会話

TEDで医療英会話を学習【Alexandra Sacks|母になっていくことへの新しい考え方】

2019年10月27日

こんにちわ。


TEDの動画より医療英会話の学習に有用なスピーチを紹介します。
今回のテーマは「新しく母親になる女性の心理の変化」に関する内容です


一概に「赤ちゃんが産まれる」という表現が用いられますが、「赤ちゃんが生まれる」と同時にその時に「お母さん」も生まれます。


しかし必ずしも自然にスムーズに「母」になれる訳ではなく、「母」になるためには時として不安定になる事もあります。


「母」へ移行する過程の上で羞恥心がある場合もありますし、それによる沈黙の状態が「産後うつ」(マタニティーブルーの時もあります)と診断されることもあります。産後うつの軽減のためには「不安やストレス」の軽減が重要ですので、「母」への移行過程も同時に重要となります。


今回のスピーチでは、妊娠や出産に関する問題を専門とする精神科医のアレクサンドラ・サックスが、新しく母になることへの感情上の綱引きについて、かみ砕いて解説していきます。


更にその移行を説明するのに役立つかもしれない用語「マトレセンス」についても紹介します。


では早速、見ていきましょう。

TEDで医療英会話を学習【Alexandra Sacks|母になっていくことへの新しい考え方】

日英翻訳全文

00:13

Do you remember a time when you felt hormonal and moody?


皆さんは ホルモンバランスが乱れて 気分屋になった時期を覚えていますか?



Your skin was breaking out, your body was growing in strange places and very fast, and at the same time, people were expecting you to be grown-up in this new way. Teenagers, right? 


肌に吹き出物ができて身体のパーツが変に大きくなったり、急速に成長したり、そして同時に周りは皆さんが新しい身体に見合う大人になったと期待していました。いわゆるTeenagersですね?

00:31

Well, these same changes happen to a woman when she's having a baby.


女性が妊娠した際には、これらと同じ変化が起きます。



And we know that it's normal for teenagers to feel all over the place, so why don't we talk about pregnancy in the same way?


ティーンエイジャーの情緒不安定さは普通のことと考えられています。ではなぜ 私達は妊娠について同様に考えないのでしょうか?


There are entire textbooks written about the developmental arc of adolescence, and we don't even have a word to describe the transition to motherhood.
We need one. 


思春期青年期の成長曲線について1冊丸ごと書いている教科書はあります。しかし、母への移行を表わす単語を私達は1つも持ち合わせてはいません。私達にはその単語が必要です。

00:57

I'm a psychiatrist who works with pregnant and postpartum women, a reproductive psychiatrist, and in the decade that I've been working in this field, I've noticed a pattern.


私は妊娠中や産後の女性を 対象とした精神科医です。この分野で10年働いてきた中で、私はあるパターンを見つけました。



It goes something like this: a woman calls me up, she's just had a baby, and she's concerned.


次のようなものです:ある女性が私に電話をしてきます。彼女は出産したばかりで 悩んでいます。



She says, "I'm not good at this. I'm not enjoying this. Do I have postpartum depression?" 


彼女は言います 「私は育児が苦手で楽しめません 私は産後うつなのでしょうか?」

01:20

So I go through the symptoms of that diagnosis, and it's clear to me that she's not clinically depressed, and I tell her that.


私は産後うつの症状を確認しますが、明らかに彼女は うつと診断される状態ではないので、彼女にそう伝えます。


But she isn't reassured. "It isn't supposed to feel like this," she insists.


しかし彼女は安心しません 「こんな風に感じるのはおかしい」 彼女は主張し続けます。


So I say, "OK. What did you expect it to feel like?" She says, "I thought motherhood would make feel whole and happy.

だから私はこう言います 「どんな風に感じると思っていたの?」 彼女は「母になれば 満たされて幸せな気持ちになると思っていました。」と。


I thought my instincts would naturally tell me what to do. I thought I'd always want to put the baby first." 


 「本能的に 何をしたらいいか 自然にわかり、常に赤ちゃんを第一に 考えるだろうと思っていました」

01:49

This -- this is an unrealistic expectation of what the transition to motherhood feels like. 


これは 母への移行が、どのようなものかについての非現実的な期待です。


And it wasn't just her. I was getting calls with questions like this from hundreds of women, all concerned that something was wrong, because they couldn't measure up. 


それは彼女だけではありません。何百人もの女性から、同じような質問の電話を受けました。みんな何かおかしいと悩んでいました。自分が理想とするあるべき姿に達していないからです。


And I didn't know how to help them, because telling them that they weren't sick wasn't making them feel better.


私は彼女達を助けられる方法を 知りませんでした。なぜなら、あなたは病気ではないのだと伝えても、彼女達の気持ちは軽くならないからです。


I wanted to find a way to normalize this transition, to explain that discomfort is not always the same thing as disease.


不愉快に感じることと 病気なのとは 必ずしも同じではないと説明するために、この移行を 正常なものと理解してもらえる 方法を見つけたいと思いました。

02:26

So I set out to learn more about the psychology of motherhood. 


それで母になることへの心理について、更に学び始めました。


But there actually wasn't much in the medical textbooks, because doctors mostly write about disease.


でも実際には、医療系の教科書にはあまり情報がありませんでした。医者はたいてい病気のことしか書かないためです。


So I turned to anthropology. And it took me two years, but in an out-of-print essay written in 1973 by Dana Raphael, I finally found a helpful way to frame this conversation: matrescence.


そこで私は、人類学を学ぶことにしました。2年かかりましたが、1973年にダナ・ラファエルが書いた今は絶版となっている論文に、このような対話で役立つ枠組みをようやく見つけました。



It's not a coincidence that "matrescence" sounds like "adolescence."


マトレセンス(母への移行期)です。マトレセンスがアドレセンス(思春期)と 響きが似ているのは偶然ではありません。



Both are times when body morphing and hormone shifting lead to an upheaval in how a person feels emotionally and how they fit into the world.


どちらも身体の変化や ホルモンの変化によって その人の感情のあり方や、世の中への適応の仕方が大きく変わる時期です。


And like adolescence, matrescence is not a disease, but since it's not in the medical vocabulary, since doctors aren't educating people about it, it's being confused with a more serious condition called postpartum depression. 


そして思春期のように マトレセンスも病気ではありませんが、医療用語には存在せず、医者が人々に このことを教育していないので、より深刻な状況に陥る 産後うつと混同されています。

03:24

I've been building on the anthropology literature and have been talking about matrescence with my patients using a concept called the "push and pull." 


私は人類学の文献に基づいて 研究してきました。そしてマトレセンスについて患者さん達と話してきましたが、その際「押しと引き」と 呼ばれる考え方を用いています。

03:33

Here's the pull part. As humans, our babies are uniquely dependent. 


「引き」のほうはこうです。人間の赤ちゃんは 珍しいことに他者を頼ります。


Unlike other animals, our babies can't walk, they can't feed themselves, they're very hard to take care of.

他の動物とは異なり、私達の赤ちゃんは歩けません。自分で食べることもできません。彼らの面倒を見るのは とても大変です。


So evolution has helped us out with this hormone called oxytocin.


進化と オキシトシンというホルモンが 人類を助けてくれました。


It's released around childbirth and also during skin-to-skin touch, so it rises even if you didn't give birth to the baby.


それは赤ちゃんが生まれた時や スキンシップの時に放出されます。だから このホルモンは 子供を産まなくても上昇します。


Oxytocin helps a human mother's brain zoom in, pulling her attention in, so that the baby is now at the center of her world. 


オキシトシンは人間のお母さんの脳が1つのことに集中できるよう、注意を引き 赤ちゃんが 彼女の世界の 中心になるように 作用します。

04:08

But at the same time, her mind is pushing away, because she remembers there are all these other parts to her identity -- other relationships, her work, hobbies, a spiritual and intellectual life, not to mention physical needs: to sleep, to eat, to exercise, to have sex, to go to the bathroom, alone-


しかし同時に 彼女の心のほうは 押しのけられています。自身のアイデンティティには 他の要素があると 知っているからです。他の人との関係、仕事、趣味、精神的生活、知的生活、もちろん身体的な欲求もです。睡眠、食事、運動 セックス それからトイレに行くこと1人だけで

04:36

(Laughter) if possible. 


(笑)可能であればです

04:39

This is the emotional tug-of-war of matrescence.


これがマトレセンスにおいての感情上の綱引きです 。



This is the tension the women calling me were feeling. 


これが私に電話をかけてきた女性達の葛藤です。


It's why they thought they were sick. 


これが彼女達が 病気を疑った理由です。



If women understood the natural progression of matrescence, if they knew that most people found it hard to live inside this push and pull, if they knew that under these circumstances, ambivalence was normal and nothing to be ashamed of, they would feel less alone, they would feel less stigmatized, and I think it would even reduce rates of postpartum depression. I'd love to study that one day.


もし、女性達がマトレセンスでの自然な経過を理解していたら、もし大半の人がこの押しと引きの間で生き辛さを感じていると知っていたら、もしこのような状況下では相反する気持ちがあるのが普通で、恥じるものではないと知っていたら、彼女達の孤独感は和らぎ周りから非難されると感じることも減るでしょう。 産後うつの割合を下げることさえも できるだろうと思います。いつかそれについてぜひ研究したいと考えています。

05:21

I'm a believer in talk therapy, so if we're going to change the way our culture understands this transition to motherhood, women need to be talking to each other, not just me. 


私は対話による治療の効果を信じています。もし私達の文化における母への移行の捉え方を変えるのであれば、女性達はお互いに話し合う必要があります。


So mothers, talk about your matrescence with other mothers, with your friends, and, if you have one, with your partner, so that they can understand their own transition and better support you.


私とだけではありません。ですからお母さん方、ご自身のマトレセンスについて 他のお母さん達、友人達と話してください。
もしパートナーがいるなら、話してください。彼らも自身の移行を理解することで、皆さんを よりサポートできます。

05:45

But it's not just about protecting your relationship. 


しかし、これは単に皆さんの人間関係を守るだけではありません。


When you preserve a separate part of your identity, you're also leaving room for your child to develop their own. 


 皆さんが自身のアイデンティティの一部を切り離して残すことで、子供にも自分のアイデンティティを 育むための余地を与えられるのです。

05:58

When a baby is born, so is a mother, each unsteady in their own way. Matrescence is profound, but it's also hard, and that's what makes it human. Thank you. 


赤ちゃんが生まれると同時にお母さんも生まれます。お互いそれぞれの事情で、不安定な状態です。マトレセンスは大きな変化をもたらしますが、同時に辛い時期でもあります。それが私達を人間らしくしてくれるのです。ありがとうございました。

まとめ|今回のスピーチの内容

TED 医療英会話 


如何でしたでしょうか。


マトレセンスとは、アドレセンスが思春期の響きと似ている様に、母への移行期を意味します。


マトレセンスもアドレセンスのどちらも、身体の変化やホルモンバランスの変化によって、その人の感情のあり方や世の中への適応の仕方が非常に大きく変わる時期です。


赤ちゃんが生まれると同時に「母」も誕生します。


赤ちゃんも母も不安定な状態ではありますが、母への移行期であるマトレセンスは大きな変化をもたらすと同時に、 その時期が私達を人間らしくしてくれる効果もあります。


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