本日の対応として優先すべきなのはどれか.
a 経過観察
b 直接Coombs試験
c ハプトグロビン投与
d 抗ヒトRhD抗体投与
e 副腎皮質ステロイド投与
第113回 医師国家試験問題解説キーワード【113C44】
それでは実際にキーワードを見ていきたいと思います。
25歳の女性.妊娠12週の初産婦 (1妊0産) .本日朝から性器出血があり完全流産となった.妊娠初期検査で,血液型はO型RhD (-) ,間接Coombs試験は陰性.
本日の対応として優先すべきなのはどれか.
a 経過観察
b 直接Coombs試験
c ハプトグロビン投与
d 抗ヒトRhD抗体投与
e 副腎皮質ステロイド投与
第113回 医師国家試験問題解説【113C44】
Rh式血液型不適合妊娠(血液型不適合妊娠)とは
この問題では、Rh式血液型不適合妊娠(血液型不適合妊娠)の知識の整理ができているか、ということを問割れている問題となります。
ここでRh式血液型不適合妊娠(血液型不適合妊娠)の復習です。
血液型不適合妊娠とは
Rh(D)陰性の女性がRh(D)陽性の児を妊娠した場合に、Rh式血液型不適合妊娠が起きてしまい、児に胎児貧血や新生児溶血性疾患が起こる可能性がある。
我が国の血液型不適合妊娠のうち最も多いのが、このRh式血液型不適合妊娠である。
この血液型不適合妊娠ですが、多くの場合には1回目の妊娠において、母体が胎児のD抗原によって感作されてしまいます。
2回目以降の妊娠時に母体の中で作られた抗D抗体(IgG)が胎児に以降して、様々な症状を引き起こす事が問題となっています。
ちなみに、母体が抗D抗体を有しているかどうか調べるためになんという検査が行われたでしょうか。
「間接 Cooombs 試験」でしたね。これもおさえておきましょう。
Rh式血液型不適合妊娠が胎児に与える影響
胎児に与える影響としては、胎児貧血から胎児水腫に至る場合があります。
胎児水腫とは胎児の心不全と同様に捉えてください。
この胎児水腫の症状についても国家試験で問われるポイントですので、まとめておきます。
胎児水腫の症状
- 皮下浮腫
- 心不全
- 肝腫大
- 脾腫大
- 胸腹水
- 羊水過多
以上はおさえておきましょう。
どの様な場合に抗D免疫グロブリンを投与するべきか
母体が抗Rh(D)抗体であった場合に、以下の検査・処置を行う様にしてください。
- 少なくとも妊娠28週前後かつ、分娩前に抗Rh(D)抗体陰性であることを確認する。
- 児がRh(D)陽性であることを確認し、分娩後72時間以内に感作予防のために母体に抗D免疫ブログリンを投与する。
- 十分な説明を行った上で、妊娠28週前後で母体感作予防で目的で抗D免疫グロブリンを投与する。
- 感作予防のために抗D免疫グロブリンを以下の場合にも投与する。
妊娠7週以降まで児の生存が確認できた自然流産後
妊娠7週以降の人工流産・異所性妊娠後
腹部打撲後
妊娠中の検査・処置後(羊水穿刺、胎位外回転術等)
※ 妊娠後だけではなく、流産や打撲後にも「抗D免疫ブログリンを投与する」という事がポイントなんですね。
補足|ABO式血液型不適合妊娠
本問題は「Rh式血液型不適合妊娠(血液型不適合妊娠)」についての問題となりましたが、ABO式血液型不適合妊娠についてもおさえておきましょう。
ABO式血液型不適合妊娠とは
母親がO型、児がAまたはB型の時に発生する。これはO型の血清中に抗A抗体と抗B抗体が存在するためで、第一子でも起こり得ます。
ただ、ABO式血液型不適合妊娠の場合には児に与える影響もそれほど大きくはなく、光線療法で治療できる事がほとんどです。
第113回 医師国家試験問題解答【113C44】
したがって解答は d 抗ヒトRhD抗体投与、となります。