妊娠中の薬物療法の原則について正しいのはどれか.
a 多剤併用はできる限り避ける.
b NSAIDsは妊娠後期であれば投与できる.
c 抗菌薬としてキノロン系が推奨されている.
d 妊娠判明時には服用中の薬剤を一旦中止させる.
e 妊娠4週未満は薬剤による催奇形性の可能性が高くなる.
第113回 医師国家試験問題解説【113E10】
一般問題ですので、早速解説していきます。
胎児の器官形成期は妊娠5週〜11週頃です。この頃には神経系、呼吸器系、循環ん奇形、消化器系などの臓器が発生します。
そのために内服する薬剤には中止しなければいけません。
しかし、一方で内服を急に中止すると危険な薬剤もあります。(甲状腺疾患系の薬剤や精神疾患系の薬剤など)
そのために妊娠が判明したからと言って、直ちに全ての薬剤を中止することはありません。
妊娠中に内服すると胎児へ影響のある薬剤に関しては、国家試験で頻出ですので以下。
表はしっかり頭に入れておきましょう。
NSAIDsは特に妊娠後期こそ肺動脈管の閉鎖を惹起してしまうため、内服は禁忌でしたね。
本問は禁忌肢の多そうな印象を受けました。
特に指摘されている薬剤と胎児への影響について表にまとめておきます。
因子 | 胎児への影響 |
NSAIDs | 動脈管閉鎖 |
サリドマイド | 四肢の異常 |
ワルファリン | 胎児出血傾向、催奇形性 |
テトラサイクリン系抗菌薬 | 歯牙着色、エナメル質形成不全 |
アミノグリコシド系抗菌薬 | 聴神経毒性 |
抗てんかん薬 | 催奇形性 |
ACE阻害薬 | 胎児腎毒性 |
経口糖尿病薬 | 催奇形性 |
第113回 医師国家試験問題解答【113E10】
解答は a 多剤併用はできる限り避ける. となります。
選択肢から見ても、多剤併用は避けるのが無難なことは当然ですね。