
そして実際にプライベートカンパニーを設立したことでメリットはあるのか。
この記事を書いている僕は、医師としての収入以外に、サイトや不動産、予備校講師などの収入を個人事業主として得ています。
そのため、事業所得や税金関係について、ある程度のノウハウがついてきました。
また、今回の記事を書くにあたっては、プライベートカンパニーを持つ勤務医の友人や、税理士の方にも情報を確認した上で執筆しています。
本記事の読者としては以下の様な方を想定しています。
本記事の想定読者
- 勤務医、または会社員の方で節税対策を行いたい方
- プライベートカンパニーについて興味のある方
- 税金に関して、勉強したくてもそれほど詳しくはない方
本記事の内容は以下になります。
本記事の内容
- プライベートカンパニーとは
- 勤務医がプライベートカンパニーを設立し成功する方法
- 勤務医がプライベートカンパニーを持つメリット・デメリット
- プライベートカンパニーの設立方法
この記事を読み切るまでに4分程度かかりますが、最後まで読んで頂くと節税に関する知識が増え、今後の収入も変化してくるかと思います。
では早速見ていきましょう。
勤務医はプライベートカンパニーを設立すべきか
そもそもプライベートカンパニーとは
プライベートカンパニーと「カンパニー」がつきますから、会社組織であることはすぐにわかりますね。
どんな会社というと、プライベートを直訳すると、「個人」という意味です。
個人的な会社ということです。
そして世間で浸透しているプライベートカンパニーというワードをシンプルに表現すると、「個人で稼いだ収益、そして資産を管理するために作る会社」です。
プライベートカンパニーと普通の会社とでは、会社組織として設立方法などが異なってきます。
例えば、他の株式会社などと変わらないのですが目的が違ってきます。
プライベートカンパニーと通常の会社の違い
- 株式会社 → 株主に株を購入してもらうことで資金を集めて事業を育てていき収益を上げて、その収益を株主に配当。
- プライベートカンパニー → 個人の資金で設立して、個人の資産を管理することを目的としています。
以下にプライベートカンパニーの種類を挙げておきます。
プライベートカンパニーの種類
- 株式会社
- 合同会社
- 有限会社
などがあります。
個人事業主でも立派なプライベートカンパニーですが、後述しますが、節税面で上記3種の法人化のほうがお得です。
勤務医がプライベートカンパニーを設立した成功事例
まず、ご説明しておきたいのは、プライベートカンパニーを設立しての成功とは何か?ということです。
プライベートカンパニー設立の目的は、個人収益、資産の管理です。要するに、節税対策です。
収益が上がるにつて税金も高くなることから、その課税率を少しでも抑えることを目的としています。
勤務医がプライベートカンパニー設立で経済的自由になれるか。
勤務医と言ってもサラリーマンです。
サラリーマンが給料だけで経済的な自由を手に入れられるかというと、やはり難しいのではないでしょうか。
なぜなら給料という限られた収入しかないこと、そして病院など組織に属することから「就業規則」というルールを守る義務が出てきます。
就業規則で副業禁止となれば、給料以外の収入は見込めなくなります。
勤務医という組織に属している医師である限り、自分自身が金持ちになることは難しいということです。
ではどうすればいいのか。以下で解説していきます。
勤務医が設立したプライベートカンパニーの事例とは
今回、ご紹介する勤務医でプライベートカンパニーを設立した方は、まず奥さんをプライベートカンパニーの社長へ就任させました。
奥さんが社長なので、本人は本業以外に仕事は持ってないことになります。
勤務医の傍ら、不動産賃貸業も営んでいて、本業と副業の収入合計は1100万円です。
夫婦で豊かになる「プライベートカンパニー」の捉え方
「奥さんをビジネスパートナーにする」という事です。
自分の収入を奥さんにすべて渡すという意味ではなく、奥さんと課税部分を分担するという考え方です。
勤務医である収入が800万円で、不動産所得が300万円である場合
- 1100万円×33%=363万円 ←これが課税額
- 1100万円-363万円=737万円←手取り額収入が1000万円以上となると課税率が上がってきます。
そこで、奥さんを社長としたプライベートカンパニーを設立し、不動産所得分を奥さんの収入に分散するとどうなるでしょうか。
以下、シミュレーションになります。 - (夫)800万円×25%=200万円(課税額)
800万円-200万円=600万円(手取り額) - (妻)300万円×20%=60万円(課税額)
300万円-60万円=240万円(手取り額)合計手取り額は、840万円となります。
一人だけで収入を得る場合と、収入を奥さんと分散した場合では、手取り額に103万円の差があります。
これは一例ですから、もっと収入が上がれば、節税効果も高くなります。
勤務医にとって「プライベートカンパニーを所有する」とは
この項目では、プライベートカンパニーを設立するにあたって、非常に有益なプライベートカンパニー設立がまるわかり書籍を紹介します。
いますぐプライベートカンパニーを作りなさい-石川-貴康
この本の中で強烈に印象が残ったのが、プライベートカンパニー=お金の貯水池という一節です。
お金を貯めこむということは、なるべく税金がかからないようにして収入を多くプールするという考え方となります。
この本を読むことで、勤務医を続けながら、税金を払いすぎることなくお金を残す方法を手に入れられます。
読みやすくて、最後まで一気に読むことができました。
この1冊で、プライベートカンパニーを設立することのお得感がひしひしと伝わってきます。
これからプライベートカンパニーの設立を考えている方は持っていて損はないかと思います。
図解-プライベートカンパニーを活用して、不動産投資をしよう-成田-仁
プライベートカンパニーを設立する際に、「事業内容は不動産賃貸業がおすすめです」という内容になっています。
不動産賃貸業は、収入によっては個人事業主でも対応できます。
ただし賃貸物件を増やす場合に、どうしても金融機関からの借り入れが必要となってきます。
その場合には、法人化しておき信用度をあげておく事がキモになってきます。
その辺りの事を分かりやすく図解で説明しています。
僕も新築と中古のマンション+アパート経営をしていますが、この本で不動産に関する基本的な知識を学ぶ事ができました。
おすすめです。
サラリーマンこそ自分株式会社をつくりなさい――1000万円生活を謳歌する-吉川-英
実際のところ勤務医も雇用者側な訳で、サラリーマンです。
その視点から考えると、この本に書いてある内容は十分役立ちます。
サラリーマンを続けながら、株式会社も経営していこうという考え方をわかりやすく説明してある内容です。
株式会社設立することで収益がアップしていくという仕組みも説明してあります。
この書籍では、本業以外の収入で1000万円を目指すということを目標としています。
もう既に副業自体をやる事が決まっていて、かつ経営者としてのモチベーションを上げたい方にはおすすめです。
会社経営を始めたい方であれば、まず手に取るべき一冊ですね。
とにかく妻を社長にしなさい-坂下-仁
この本で言いたい事は、プライベートカンパニーを設立して、「選ばれた人間」になろう、という思考です。
プライベートカンパニー=法人という人格があるということが分かります。
この法人という人格は不死身であり、税制面ではかなり優遇された存在になります。
給料をもらっているだけで30%近くの課税があります。
一方で法人は、法人税と法人住民税で合わせて20%程度の課税しかないという現実的な利益を享受出来るメリットが書かれています。
この本を読むと、勤務医で多くの税金を支払っている事に対する危機感と現実が見えてきますね。
この本で言うところの選ばれた人間というのは、一握りの人間だけでなく、この本を読めば誰しもが選ばれた人間になれると謳っています。
それなりに価値はあるかと思います。
勤務医がプライベートカンパニーを持つメリット・デメリットについて
ここでは、プライベートカンパニーのメリット、デメリットについて説明していきます。
勤務医がプライベートカンパニーを持つメリットについて
プライベートカンパニーには、多くのメリットがあります。
勤務医がプライベートカンパニーを持つことは、ノーリスク・ハイリターンな資産形成術と言っても過言ではありません。
メリットについては以下のものがあります。
勤務医がプライベートカンパニーを持つ事のメリット
- その①:所得税の経費計上が可能
- その②:節税対策が可能
具体的に各々についてみていきましょう。
メリットその①:所得税の経費計上が可能
法人化することで、家計を圧迫していた「家賃」「光熱費」「食費」「交通費」などを経費として計上することができます。
たとえば、温泉旅行に家族で行ったとして、その交通費、宿泊費を「出張旅費」という経費にして計上できます。
また、夫婦でランチに行っても、「会議費」と計上できます。
夫婦であり、社長と社員の関係もあるのですからランチの時間も打ち合わせということです。(僕はここまでしていません。)
メリット②:節税対策が可能
節税対策が可能な理由としては以下の理由が挙げられます。
法人への税制での優遇が継続
勤務医は病院などに所属していると給料からは下記の3つの控除しかありません。
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 生命保険料控除(年末調整にて)
しかし、確定申告をすることで以下の控除を受ける事ができます。
- 医療費控除
- 雑損控除
- 寄付金控除
- 住宅ローン控除
- 配当控除(FX、株式投資を行うことでの控除)
これらの控除を受けることもできます。
しかし個人事業主のままだと、課税率が5%~45%とかなり幅広いですね。
収益が上がるにつれて、半分近く税金で持っていかれてしまうことも有り得ます。
しかし、プライベートカンパニーを設立して法人化することで、法人税と住民税の2種類だけの課税となります。
すなわち、収益が増えてきても、比例税率となり一定の税率となります。
メリット③:相続対策
法人はある意味「不死身」なので、相続する必要がありません。
これは法人化することでの最大のメリットといえます。
ただし、株式に関しては、相続が必要です。
保有していた株式の相続は発生します。
しかし、法人ならば株式を譲渡することで事業承継という形をとる事ができます。
事業継承という形をとる事で、スムーズに資産を移行することができる訳です。
プライベートカンパニーを持つデメリットについて
プライベートカンパニーを持つデメリットには以下のものがあります。
勤務医がプライベートカンパニーを持つ事のデメリット
- 法人化手続きにお金がかかる
- 経理業務が複雑になる
デメリットその①:法人化手続きにお金がかかる
会社設立登記には、印紙税など初期費用がかかります。
手続きは、自分でもできるのですが、少し煩雑なところがあります。
勤務医という本業も持ちつつの手続きとなるので、司法書士や行政書士に代行してもらった方が楽です。
株式会社設立で専門家に代行してもらう費用も併せて30万円程度、合同会社となると7万円程度で設立することができます。
デメリット②:経理業務が複雑になる
デメリットの2つ目としては「経理業務が複雑になる」という事があります。
会計期間を決めて、決算して、税務申告が必要です。
特に株式会社の場合は、会計期間を自由に決められます。
しかし、必ず税務申告しなくてはならず自分で行うのはかなりメンドウですね。
税理士に依頼するのが非常に効率的です。
専門家である税理士に決算業務、税務申告を依頼することで、大きなメリットがあります。
税務のプロですから、あらゆる節税対策のアドバイスをして貰えます。(←経験上)
また、事業を大きく成長させることもできるので、 税理士ドットコムなどで一度税理士さんに相談してみるのはアリです。
更に、月々の記帳などの決算資料に関しては、以下の方法が効率良いですね。
自分で領収書をとっておいて、会計ソフトに入力しておき、1年に1回だけ決算と税務申告だけ依頼するという方法です。
会計ソフトを利用すると月々の顧問料ではなく決算料だけで対応してもらえます。
確定申告のための、日々の経費、出金などの入力には、freeeという会計ソフトが簡単でお勧めです。
この会計ソフトを導入することで煩わしい記帳業務をショートカットできます。
僕も使用している会計ソフトですが、freeeを契約して確定申告すると秒で仕事が終わります。
このfreeeは、初心者で簿記の知識がなくても使えるソフトで、ネットバンキング、クレジットカードなどとも連動できますので、入力がとてもシンプルで経理の知識がなくても使えます。
繰り返しになりますが、プライベートカンパニーを設立の目的は節税です。
プライベートカンパニーを設立しようと検討したときから、税理士のアドバイスを受けておいた方が良いでしょう。
なお、税理士の相談窓口としては僕も登録している 税理士.comがおすすめです。(なお、相談は無料です。)
実際に、僕自身は 税理士.comとfreeeを併用する事で、税理士費用を30%近く減らす事ができました。
税理士ドットコムは無料で相談可能なので、やるべき事で迷っているなら、相談するのがおすすめです。
頼まずにいた年数は年々損失(実際には減らす事ができていた金額を減らせずにいました)が増えており、損してました。
皆さんには、その様な事が無い様にして頂きたいですね。
確定申告を済ませる方法
- 個人事業主として自分で確定申告を出来る方 ← freeeを使用すればオッケイです
- プライベートカンパニーの設立を考えている方 ← 税理士ドットコム【無料相談可能】
プライベートカンパニーの設置方法【手順を公開】
プライベートカンパニーを設立までの流れ
プライベートカンパニーを設立までに6つのステップがあります。
step
1所在地、社名、資本金額を決める
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2定款の作成
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3定款を公証人役場に申請する
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4資本金を発起人口座に払い込み
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5登記申請
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6税務署などへの届出(設立完了)
法人設立の注意点
手順をご説明したところで、次は注意点について解説します。
法人設立の際のポイント
- 資本金の額と払い込み
- 定款の内容
- 定款の認証の受け方
資本金の額と払い込み
株式会社を資本金1円からでも設立できます。
しかし、これでは対外的に信用度が低くなり、せっかく法人化して得られる信用力は低くなります。
資本金は経営面での体力を判断する目安となりますので、目安としては1000万円までの金額を資本金として設定しておくことをお勧めします。
また、法人化設立の申請をして、登記されるまでに資本金を発起人の口座に払い込んでおく必要があります。
発起人が一人ならば、その発起人の口座へ預け入れでOKです。
しかし、複数いる場合は、必ず払い込みで金額と払い込んだ氏名が明記されるようにしておいてください。
定款の内容と認証の受け方
定款の内容と認証の受け方の項目は以下の6つあります。
- 事業の目的
- 会社の商号
- 本店の所在地
- 会社の設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
- 発起人の氏名または名称および住所
- 発行可能株式総数
定款というのは、内容も書式も一定の形式がありますが、注意も必要です。
内容についてしっかり設定しておかないと、起業してから様々なトラブルに遭ったときに、効力を持たないということにもなりかねません。
事業内容にあった定款を定める必要があり、また出来上がった定款を公証人役場で認証してもらうのですが、今では電子申請も可能です。
電子申請を行った場合は、印紙税がかからないので4万円程度節約できます。
株式会社の場合は定款の内容、認証については、専門家に依頼することも検討してください。
税理士ならば、決算業務、税務申告業務だけでなく会社の経営についても経験と知識があります。
プライベートカンパニー設立を検討したらまず、事業内容と相性の良い税理士を探すことが大切です。
上記内容について考えるのが面倒くさい場合には 税理士.comに丸投げでも良いかと思います。
まとめ|年収800円以上の勤務医は節税対策としてプライベートカンパニーを設置すべき
大学病院に勤務している場合は、給料がある勤務医と給料が不支給(大学院生など)の勤務医がいます。
ちなみに僕の場合は大学院生なので、不支給ではないですが、月額3万円の給料です。
そのため、他のクリニックでの診察など様々な副業を持たなくてはいけません。
大学病院での診察業務が副業の収入をアップさせることにもなるのですが、ほとんどの勤務医って厳しい労働環境の中で頑張っています。
だからこそせっかく稼いだ副業収入などはしっかり節税したいものです。
本記事の内容のおさらい
・プライベートカンパニーを設立することは多くのメリットが享受できる
・プライベートカンパニーを株式会社として設立するには、手続きが煩雑だが、節税効果は高い
・日本は、法人税を軽減化する傾向にある
・プライベートカンパニー設立に関する書籍は豊富にある、まずは予習が必要
・煩雑な会計処理、税務などは、優秀な会計ソフト(freee)、税理士への依頼が必要
上記の内容をこの記事で説明してきました。
プライベートカンパニーは、株式会社である必要はなく、個人事業主で白色申告でも問題はありません。
しかし、収入が高くなり節税効果を高めるためには、法人化が不可欠になってきます。
以上を踏まえると、勤務医の方がどの様に動いていくべきかお分かりになるかと思います。
本記事で紹介した確定申告を済ませる方法
- 個人事業主として自分で確定申告を出来る方 ← freeeを使用すればオッケイです
- プライベートカンパニーの設立を考えている方 ← 税理士ドットコム【無料相談可能】
関連書籍 本記事で紹介した節税対策の書籍を2冊、以下にまとめておきます。