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【誤解多し】胎動が少ないと心配の方へ【胎動少ない≠胎動がないに注意】

胎動が少なくて心配な時の対処方法

みなさん、こんにんちわ。

最近胎動が少なくなった気がする。
予定日が近くなると、胎動がなくなると聞きましたがそうなんでしょうか。
胎動が少なくて、赤ちゃんが元気かどうか心配です。

さらに、、
胎動がない事が病的意義があるような状況はどんな時か知りたい。

この様なご質問にお答えします。

今回のテーマです
  • 胎動とは何か。
  • 臨月になると胎動が少なくなる原因は何か。
  • 病的意義のある「胎動の少ない時」、また「胎動が無い時」はどの様な時か。

胎動は産科医にとっても非常に重要な観察項目です。

この記事は胎動の基本から注意するべきポイントまでまとめています。

外来をしているとたまに「胎動がない」(あるいは少ない)んですけど大丈夫でしょうか」という相談の電話があります。

今まで胎動を感じていたのに、急に胎動が少ないな、無くなったなと感じている方に向けた記事になっていますので、どの対応をすれば良いか心配な方は是非ご覧ください。

それではさっそく見ていきましょう

【誤解多し】胎動が少ないと心配の方へ【胎動少ない≠胎動がないに注意】

胎動が少ない時はどういう時

体動が少なくて心配な方へ。胎動から解説
胎動が妊娠18週頃から感じることができます。

胎動とは

「胎児の動き」を略して胎動といいます。 

妊娠初期の場合に、赤ちゃんが小さすぎると胎動は感じません。

胎動の感じ方はママそれぞれですが、赤ちゃんが大きくなった妊娠中期の18週~22週頃から感じ始めます。

初めの頃はお腹がゴロゴロする様な感じで気づかない方もいます。
そのため、妊娠初期に胎動が少なくても心配する必要はありません。

また赤ちゃんもお腹の中で寝ることがあります。20分寝て20分起きて、という感じで寝たり起きたりを繰り返しています。

そのため寝ている20分間は動かずじっとしているので胎動を感じません。感じたとしても頻度は非常に少ないです。赤ちゃんは起き出した20分の間にまた動き出します。

妊娠後期の胎動は非常に重要でして、私達産婦人科医も、通常の健診で赤ちゃんの元気良さ(well beingといいます)を評価する際に、胎動が一つの判断材料になります。

そのため、「胎動が少ない」ということで病院にいらっしゃった方には必ず赤ちゃんの元気良さを評価します。

この元気の良さを確認する項目はどの病院でも決まっていまして、チェックする項目で評価するスコアを BPSBiophisical profile scoring)と言います。

スコアの評価方法ですが、5項目あります。超音波で赤ちゃんの「呼吸様運動」「胎動」「筋緊張」「羊水量」の状態を確認します。

加えて胎児心拍モニタリングで赤ちゃんの心音を確認して、これらの合計5項目で赤ちゃんの元気良さを評価します。

超音波で胎動を確認する時には「30分間に手足や体幹の動きが2回以上」で正常としています。

この様に、赤ちゃんの元気の良さを評価する項目の中には「胎動の有無」が含まれているくらい、胎動は検査を行わなくてもわかる重要な項目です。

自分で胎動を確認する方法

自分で胎動を確認する方法

胎動カウント法といって、ママが胎動を数えることで赤ちゃんの元気良さを確認する方法もあります。


ポピュラーなもので10カウント法」というものがあります。
10回の胎動を感じるのにかかった時間を計測するというものです。
妊娠後期では10回の胎動を確認するのに約20.9分と報告されています。


1日のうちで最も激しい時間帯では10回の胎動を感じるのに14.8分と報告されています。胎動が少ないと感じる方は10カウント法を用いて、この数を指標にしてみてください。

【参考文献】
>> Moore TR, et al.: A prospective evaluation of fetal movement screening to reduce the incidence of antepartum fetal death.Am J Obstet Gynecol 1989; 160: 1075-1080 PMID:2729383()

臨月になると胎動が少ないと感じる理由

臨月の時に体動が少なくなる理由

分娩直前になると、胎動が少ないと感じることがあります。(注:全く無くなるわけではありません
これは非常に重要はポイントでして、体動が少ないからといって、赤ちゃんが全く動かないという訳ではありません。赤ちゃんは産まれる前まで動き続きますので、妊娠後期に赤ちゃんが全く動かない時間が2時間程度続く場合には病院を受診しましょう。

※ この点に関しては色々な参考書や妊婦さん向けの書籍でも間違った内容が書いてることがあるので注意してください

赤ちゃんはずっと動いてはいるのですが、胎動が少なくなると感じる理由には、赤ちゃんがママの骨盤の中に入っていくことで、赤ちゃんの頭が骨盤に固定されて動きが制限されるためです。

そのために、赤ちゃんは動き続けているにも関わらず、時に胎動を感じにくくなくなる時があります。

ちなみにですが、赤ちゃんの頭が下がってくると同時にまたリラキシンというホルモンが分泌されます。

リラキシンは恥骨を緩ませて骨盤を広げる作用があるため、赤ちゃんの頭が下がってくことで、ママの恥骨を圧迫して恥骨付近が痛くなることがあります。

妊娠中腰痛や恥骨に痛みを感じるのは、このリラキシンというホルモンが関係しているんですね。

ただ、分娩前であっても胎動が少ないと感じても、完全に無くなる訳ではありません。

臨月になると胎動が無くなると間違った風潮が流れていることもありますが、注意してください

詳しくは次の章で解説していきます。

病的意義のある「胎動がない時」【実例を交えて説明】

ちょっと怖いエピソードをお話しします。


妊娠末期に本当は異常な原因のある胎動減少なのに、人から「臨月だから胎動は感じなくても良いよー」と聞いて受診せず、結果的に死産になったという報告があります。非常に悲しいエピソードです。


私自身も「胎動が無くて2時間経過したので気になって受診しました」という方を診察して、結果的に死産であったケースを確認したことがあります、


ちょうど医者3年目の若手の頃で、すぐ心音が確認できるだろうと思って超音波をママのお腹に当てました。


すると、赤ちゃんの心音が止まっていたんです。ぼくの頭も真っ白になりかけましたが、必死にその場で出来ることを行いました。
病名は常位胎盤早期剥離でした。


通常だと板状硬と言われるようにおなかがカチカチになったり、腹痛や出血が見られる場合が多いんです。


このケースでは、まず胎動がないなと思って1時間ほどすると腹痛が少しずつ出てきたようです。若手の僕は初めての経験で、もっと早く来てくれれば、と悔しい思いをした気持ちをまだ覚えています。


妊娠末期に胎動を10回カウントするまで2.3分の延長をみとめることがある。


という最新の報告があります。この論文ではさらに、数分の延長であれば何ら問題はない、とも言っています。

しかし、胎動がない、と感じる時は要注意です・

26週で胎動が少ないと感じたことをキッカケに病院に受診して「双胎間輸血症候群」発見のキッカケになった方もいます。


他にも常位胎盤早期剥離や脳性麻痺は出血や腹痛に先駆けて胎動減少があるという報告があります。

病院によっては「2時間以上胎動が無い時には来てください」

と案内している施設も多いですが、今までお話ししたように厳密には「2時間胎動がなくても大丈夫」というわけではありません。


ガイドラインに準拠すると
「胎動が急に弱くなった場合には連絡」もしくは「自覚として明らかに胎動が弱くなったり少なくなった時に連絡する」
ことをオススメします。


要するに2時間待たなくてもママが「胎動の感じがあれ、おかしいな」と思ったら連絡して受診するのが良いと思います。

胎動が全くなくなった時には要注意です。

【参考文献】
>> Winje BA et al.: Analysis of ‘count-to-ten’ fetal movement charts: a prospective cohort study. BJOG2011; 118:1229-1238 PMID:21585644(Ⅱ)


>> 産婦人科診療ガイドライン 産科編


>> Suzuki H,et al.: Maternal perception  of decreased fetal movement in one twin: a clue leading to the early detection of absent valiability due to acute twin-to-twin transfusion syndrome.Case Reports in Obstetrics and Gynecology 2013 PMID: 23984131(Ⅲ)

まとめ:胎動を感じない時は医師に相談を。

まとめ:胎動が少なく感じて心配な時は医師に相談を。

今回の内容をまとめです。

  1. 臨月前には胎動が少ないと感じる時があるが、胎動が全く無くなることはない
  2. 2時間なら胎動がなくても問題はない、ということはない。
  3. 病院に連絡するタイミングは、ママが「明らかに胎動が弱くなったり少なくなっているな」と感じた時。
  4. 胎動を感じなくなった時には病院に連絡して赤ちゃんの状態を確認して貰う。


以上如何でしたでしょうか。
世の中には妊娠末期の胎動について間違った情報が流れている時もありますので、胎動が少なくなった時の対応について少しでもわかって頂ければ幸いです。