婦人科疾患に関する内容はこちらをご覧ください。

帝王切開の説明を英語で行う【ネイティブチェックあり】

帝王切開 informed consent インフォームドコンセント IC 英語

この記事では帝王切開の際の手術に関する英会話について解説していきます。


今回は英語がそれほど得意ではない、海外の妊婦さんを対象とした医療関係者向けの記事になります。


私が勤務していた病院では外国籍(アメリカ、イギリス、ペルー、コロンビア等)の妊婦さんの受診率が高く、診療に際して英語を使用する機会が多くありました。


私自身は英語はそれほど得意ではないため、必要最低限の英語を使いこなす必要に迫られる状況が多々ありまして、診療前に診察に必要な英語表現を調べていました。


そのため今回の記事は英語がどれほど得意でない方で、なおかつ医療従事者に向けた記事となっています。


※ 医療に携わっている方で、英語が全くもって出来るという方は時間がもったいないですので、スルーして頂いて構いません。


今回は帝王切開を行う際にあたって、英語で手術の説明をどの様に行えば良いのか解説していきたいと思います。

今回のテーマ
帝王切開の手術のインフォームド・コンセントを最低限度の英語で行える様になる。

※ なお、この記事に記載している英語表現は、英会話学習塾GABAの medical science系の経歴のある先生方にネイティブチェックしていただいています。


では、早速見ていきましょう。

帝王切開の説明を英語で実践

帝王切開 informed consent インフォームドコンセント IC 英語

今回は以下の患者さんの設定でインフォームド・コンセントを行なっていきたいと思います。

症例 28歳女性
妊娠分娩歴 1経妊1経産(1×帝王切開)
前回の帝王切開は分娩停止(分娩第2期遷延)のために帝王切開になりました。
帝王切開は縦切開で行われています。
今回の妊娠では妊娠中期より部分前置胎盤〜低置胎盤が指摘されていたため、妊娠36週5日に予定帝王切開の方針となりました。(事前に撮影したMRIでは癒着胎盤を疑う所見はなく、後壁付着という設定にしておきます。)
それでは実際のインフォームド・コンセントの内容を見ていきましょう。


尚、前置胎盤についての説明は実際の臨床では非常に重要ではありますが、今回は簡略化させて頂いています。
The baby can’t be delivered ,because there is a previa.
So, we have to perform a C-section (Caesarean section). 

「前置胎盤があるので、経腟分娩をすることは出来ません。そのため、帝王切開を行います。」
point
・ 帝王切開は英語で cesarian section と言いますが、アメリカでは一般的に C-section と言われています。
・ 「cause」だとcasual な印象を与えます。「because」だとよりformalな印象を与えます。

You had already experienced C-section before and a longitudinal incision was made. Most C-section incision are transverse , which means that the  incison is along the bikini-line. 
This C-section is also going to be longitudinal following the previous line.
「前回の帝王切開が縦切開でした。ほとんどの帝王切開では横切開で行いますが(bikini line と言います)、今回の帝王切開も前回の創部ラインに引き続いて、縦切開で行います。」
point
longitudidal」は縦切開という意味ですが、アメリカ人の方でもピンと来ない方が多いです。そこで、「this way」と言いつつ、縦や横にジェスチャーを交えて説明する方が帝王切開の創のイメージもつきやすいですし、丁寧です。

また、横切開は英語圏では一般的に「bikini line」と言われています。
そのため、横切開で帝王切開を行う際には、
C-section is transverse incision, that means along the bikini line.
と説明する事により創部に関しても分かりやすく伝わります。この説明文では「前回の創に沿って、帝王切開は横の創にします」という事を伝えています。

なお、アメリカ人でも縦切開と横切開の単語をこんがらがることも多い様です。

そこで、アメリカ人が使用している暗期の仕方に、この様な語呂があります。
point
  longitude is long-a-tude.
  Latitude is fat-a-tude.

fat-a-tude」 という単語はありませんが、「Lat」と「fat」の発音のゴロが良いので、latitude fat (肥えた方は横に広い)という意味で、横切開と覚えている様です。

Usually, performing C-section takes about one hour. But in this case, the CS procedure might take more than one hour ,because of your precious CS experience.

But if the
uterus, bladder, intestines and the urethra are adhering to each other(adhesion), it would take more times to separate those organs from each other .
「通常であれば帝王切開は約1時間程度かかります。しかし、今回の帝王切開では既往帝王切開であるため、1時間以上の時間を要する可能性があります。

子宮や膀胱、腸管、尿管など他の臓器が癒着している場合には、癒着剥離のためにさらに時間がかかる場合があります。」

adhesiolysis」は癒着剥離という意味ですが、ピンと来ないアメリカの方も多いため、「What is  ‘adhesiolysis’ ??」と言われた時には、
I have to take more times to separate those organs from each other in.

と「adhesion」=「癒着」の剥離に関しても分かりやすく説明しましょう。
And it will take about 2 hours, from the time of  the anethesia.
「麻酔がかかる時間も含めると約2時間がかかります。」


「麻酔をかけてから〜」という表現は、「from the time of the anethesia」という表現を使用しましょう。

合併症に関するインフォームド・コンセントを英語で行う。

帝王切開 informed consent インフォームドコンセント IC 英語

それでは次に、帝王切開の合併症に関する内容についてのインフォームド・コンセントについて解説します。


合併症に関する説明では、同意書に沿って説明するとおどろおどろしい内容も記載されているため、怖がらせてしまう可能性もあります。


そのため私個人は、なるべく妊婦さんやご家族を怖がらせずに、説明責任があるため聞いて頂く様にお伝えしています。

Several complications can occur in this performing surgery.
There may be some complications that will occur and it’s my responsibility to inform you about them
.
「手術に際して合併症が起きる可能性があります。全ての合併症が起きるわけではありませんが、私はあなたに合併症に関する説明を行う義務があります。」

輸血についてのインフォームド・コンセント

輸血に関する説明です。今回は前置胎盤である事もあり(設定では後壁付着のため)、大量出血のリスクについてやや強めのトーンで説明しています。

– Excessive bleeding

Normally, the chance of excessive bleeding occuring during a CS procedure is low.
But in your case, the possibility of excessive bleeding is higher.
In case such bleeding happens, I will have to performe blood transfusion on you.
「– 大量出血、
通常の帝王切開であれば大量出血する可能性は低いですが、今回の場合、出血のリスクは高くなります。大量出血を認めた場合には、輸血を要する可能性があります。」
When I perform a blood transfusion, There’s a chance you might have an allergic reaction.
「輸血を行なった場合、アレルギー反応を起こす可能性があります。」
In extreme cases of excessive bleeding, I might have to remove the uterus.
「極端に出血量が多い場合には、子宮摘出術を行う可能性があります。」
※ 子宮摘出については通常の帝王切開では行わない事の方が多いですが、今回は前置胎盤である事もあり、念のため一言付け加えておくことにしました。


ただし、非常にデリケートな内容ですので、実臨床ではより慎重に相手の表情を見ながら誤解を招かない様に説明する必要があります。

下肢静脈血栓塞栓症に関するインフォームド・コンセント

– Embolism

However, staying in bed for more time could cause a clot. This clot could move to your brain vessels( cerebral infarction ) or lung vessels( pulmonary embolism ).
「– 血栓症
術後に長時間臥床しておくと血栓が生じる可能性があります。血栓が脳の血管や肺の血管に飛ぶ可能性があります。(脳梗塞や肺塞栓症)」
point
thrombosis」は専門用語ですので、分からない患者さんは多い可能性があります。血栓は「clot 」と言い換えると分かりやすいです。
血栓が生じる可能性を説明した上で、そのためになるべく早めの離床をここで予め促す事も重要です。

腸閉塞に関するインフォームド・コンセント

– Paralytic ileus

When you are anesthesized, your intenstines ” fall asleep” and if you have been in bed for a long time, your intenstine’s sleep may be worse.
As a result, you may experience nausea and vomitting. In such cases, medicine may be used to get the intenstine to move normally.
「– 麻痺性イレウス

麻酔にかかる事で腸管の動きが鈍くなります。さらに手術後に長期間臥床されている場合、更に腸管の動きが悪くなってしまうことがあります。その際には症状として吐き気や嘔吐が見られることがあります。この様な場合には、腸を動かすお薬を投薬する場合があります。」


腸閉塞をイレウスと説明することがありますが、厳密にいうと腸閉塞は麻痺性イレウスと異なるため、ここではあえて「paralytic ileus」と表現しています。


また、麻痺性イレウスの状態になることをなるべく患者さんにもイメージを掴んで頂くために「intenstines」が「fall asleep」と表現しています。

他臓器損傷に関するインフォームド・コンセント

–Other organs damage

Around the uterus, there are many organs such as the bladder, intenstines and ureter. So, during the operation, there’s a a chance that other organs may be scratch. The chance is next to nothing.
「– 他臓器損傷、
子宮の周りには膀胱や腸管、尿管などの多くの臓器が存在します。そのため、手術中に他臓器を損傷する可能性がありますが、その可能性は低いです。」
point
可能性が低いという表現として「 The chance is next to nothing.」を用いています。ネイティブとしては、それ以外にもむしろ「the chance is minuscule.」と言う方が自然です。。「minuscule」は「小さな」と言う意味で、非常に一般的な用語です。
また、「scrape」と「scratch」には以下の様な違いがあります。
A scratch is less damage than a scrape.
If you use your fingers to cut, you would say scratch.
If you hit your knee on the floor and get cut, it’s a scrape.

>>【引用】Hi Native

次回以降の分娩も帝王切開になる事に関するインフォームド・コンセント

この症例の場合には前回帝王切開であったため、また前置胎盤出会ったため今回も帝王切開を選択しました。


しかし、今回が初回の帝王切開である場合には「次回も帝王切開を選択します」と言った内容をお伝えする必要があります。

After having a C-section, all other pregnancies must also be a C-section.
「帝王切開術後には全ての妊婦さんは帝王切開を受ける必要があります。」
point
実臨床では、初回帝王切開での子宮筋層の縫合の仕方により、2回目以降でも経腟分娩を行える施設もありますが、ここでは省略しています。

自己血輸血に関するインフォームド・コンセント

– Autotransfusion(Infusion of your own blood transfusion)
You will need blood transfusion.
There is dangerous case of previa, which is embeded placenta. It’s a very delicate thing.

The blood supply will be on stand-by.
Before CS, a total of 1200mL blood is drawn out from you. I had two patients who had this case of embedded placenta.
「- 自己血輸血
手術に際して、多量の輸血を使用する事になるでしょう。失血量を念頭に置く必要があります。癒着胎盤では非常にデリケートな状況となります。輸血はあらかじめ準備しておく必要があります。帝王切開の前に、合計1200mLの自己血を貯血しておく必要があります。」

帝王切開のインフォームド・コンセントまとめ|日本語英語全文

帝王切開インフォームド・コンセント【英語全文】

The baby can’t be delivered ,because there is a previa.
So, we have to perform a C-section (Caesarean section). 

You had already experienced C-section before and a longitudinal incision was made. Most C-section incision are transverse , which means that the  incison is along the bikini-line.  This C-section is also going to be longitudinal following the previous line.

Usually, performing C-section takes about one hour. But in this case, the CS procedure might take more than one hour ,because of your precious CS experience.
But if the uterus, bladder, intestines and the urethra are adhering to each other(adhesion), it would take more times to separate those organs from each other .
It will take about 2 hours, from the time of  the anethesia.

Several complications can occur in this performing surgery. There may be some complications that will occur and it’s my responsibility to inform you about them.

– Excessive bleeding
Normally, the chance of excessive bleeding occuring during a CS procedure is low. But in your case, the possibility of excessive bleeding is higher.
In case such bleeding happens, I will have to performe blood transfusion on you.
When I perform a blood transfusion, There’s a chance you might have an allergic reaction. In extreme cases of excessive bleeding, I might have to remove the uterus.

– Embolism
However, staying in bed for more time could cause a clot. This clot could move to your brain vessels( cerebral infarction ) or lung vessels( pulmonary embolism ).

– Paralytic ileus
When you are anesthesized, your intenstines ” fall asleep” and if you have been in bed for a long time, your intenstine’s sleep may be worse.

As a result, you may experience nausea and vomitting. In such cases, medicine may be used to get the intenstine to move normally.

–Other organs damage
Around the uterus, there are many organs such as the bladder, intenstines and ureter.
So, during the operation, there’s a chance that other organs may be scratch. The chance is next to nothing.

After having a C-section, all other pregnancies must also be a C-section.
you will need blood transfusion.

There is dangerous case of previa, which is embeded placenta. is embedded placenta. it’s a very delicate thing.
The blood supply will be on stand-by.

Before CS, a total of 1200mL blood is drawn out from you. I had two patients who had this case of embedded placenta.

帝王切開インフォームド・コンセント【日本語全文】

前置胎盤があるので、経腟分娩をすることは出来ません。そのため、帝王切開を行います。(前回の帝王切開が縦切開でしたので)、今回の帝王切開も前回の創部ラインに引き続いて、縦切開にします。帝王切開には約1時間かかります。しかし、子宮や膀胱、腸管など他の臓器が癒着している場合には、癒着剥離のためにさらに時間がかかる場合があります。


手術にさいして合併症が起きる可能性があります。私たちはその合併症についてあなたに説明をしなければなりません。全ての合併症が起きるわけではありませんが、私はあなたに合併症に関する説明を行う義務があります。


– 大量出血、大量に出血する可能性があります。この場合、輸血を要する可能性があります。輸血を行なった場合、アレルギー反応を起こす可能性があります。極端に出血量が多い場合には、子宮摘出術を行う可能性があります。


– 血栓症、手術後床上に長時間安静にしておく必要があります。そのため下肢に静脈血栓症を来たす可能性があります。血栓が脳の血管に飛んでしまった場合、脳の血流が滞る場合があります。


– 麻痺性イレウス
手術後に長期間臥床されている場合、また麻酔にかかった後でもありますので腸管の動きが悪くなってしまうことがあります。その際には症状として吐き気や嘔吐が見られることがあります。この様な場合には、腸を動かすお薬を投薬する場合があります。


– 他臓器損傷、子宮の周りには膀胱や腸管、尿管などの多くの臓器が存在します。そのため、手術中に他臓器を損傷する可能性がありますが、その可能性は低いです。


帝王切開術後には全ての妊婦さんは帝王切開を受ける必要があります。手術に際して、多量の輸血を使用する事になるでしょう。失血量を念頭に置く必要があります。癒着胎盤では非常にデリケートな状況となります。輸血はあらかじめ準備しておく必要があります。帝王切開の前に、合計1200mLの自己血を貯血しておく必要があります。

まとめ|帝王切開のインフォムドコンセント【英語版】

帝王切開 informed consent インフォームドコンセント IC 英語

確認を怠らない| Is that all right with you?

今回の解説では小区画ごとに区切りつつ解説をしていきましたが、インフォームド・コンセントでは医療者が自分の説明を一気に述べるのではなく、患者さんの理解度に合わせて進めていく必要があります。なるべく丁寧に、区切りの良いタイミングで適切に理解されているか確認する事が重要です。


Is that all right with you?


説明が一区切りすると、この様に説明が一つ一つ理解して頂けたか、「Is that all right with you?」と患者さんの反応を確かめる事が重要です。

お大事に| Do you have any question?

日本では診療が終わると最後に「お大事にしてください」と言って診察を終えますよね。これと同じ様に英語圏の患者さんにも、最後に「お大事に」と一言添える必要があります。


Do you have any questions?


最後に質問等はありませんでしょうか。この一言の声掛けで診察を終えると良いでしょう。


以上帝王切開の英語でのインフォームド・コンセントの方法でした。みなさんの診療のお役に立てれば幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください